生活保護受給者がしてはいけないと勘違いされているもの
- magokoro0026
- 8月6日
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生活保護受給者がしても良いのに、なぜかしてはいけないと勘違いされているもについてご説明します。
生活保護受給者がしてはいけないと勘違いされているものは
①不動産を所有すること
➁スマートフォンを所有・購入すること
③パソコンを所有・購入すること
④結婚・離婚をすること
⑤ペットを飼うこと
⑥パチンコ等のギャンブルをすること
⑦お酒を購入して飲むこと
⑧タバコを購入して吸うこと
⑨クレジットカード・デビットカード・電子マネーの利用
以上9点です。
➀について、生活保護受給者でも不動産を所有することは可能です。
本来であれば、不動産は資産であるため、売却しなければいけません。
しかし、不動産は高額なため、すぐに売却することはできません。
すぐに売却することができなれば、たとえ数億円の価値のある不動産を所有していたとしても、現金化できないため、生活することができません。
そのため、不動産が売却できた場合は、今までの生活保護費を遡って返還しなければいけませんが、不動産が売却できるまでは所有することができます。
また、その不動産が資産価値が少なく、居住用として住む場合は、売却する必要はなく、そのまま所有して住み続けることが可能です。
なぜなら、住宅扶助を支給する必要がなくなるからです。
➁について、生活保護受給者はスマートフォンを所有することはもちろん、生活保護費でスマートフォンを購入することが可能です。
むしろ、就労可能と判断された生活保護受給者に関しては、積極的に購入するように指示します。
なぜなら、就職活動をするうえで携帯電話は必須アイテムだからです。
今の時代、連絡がつかない人は就職することが不可能です。
また、ケースワーカーとしても訪問調査等で、いつも自宅にいない生活保護受給者に対して指導したい場合にもスマートフォンがあると非常に便利です。
そのため、スマートフォンは購入してでも所有するべきです。
なお、機種に関しては最新機種であろうと、料金プランも含めて生活保護費の範囲内で生活できるのであれば、特に制限はありません。
③について、生活用品の所有が認められるか認められないかの基準は当該物品の普及率が当該地域の70%に満たすかどうかで判断されます。
そのため、以前は炊飯器の所有も認めらていませんでしたが、今は認められていますし、パソコンも今はどこの家庭でも当たり前にあるため、所有が認められています。
余程性能が高く、資産価値の高いパソコンであれば売却指導を受けるかもしれませんが、ゲーミングパソコンなど、多少CPUやグラフィックボード等の性能が良いくらいのパソコンであれば、就職活動での活用も見込まれることから、所有を認められます。
④について、生活保護受給者は恋愛自由です。
そのため、恋愛の結果、結婚することも可能です。
ただし、結婚する場合は、新たに世帯に入る方を含めて生活保護の条件に該当するかどうかのチェックが必要になるため、ケースワーカーに生活保護の変更申請書を提出する必要があります。
結婚して妊娠・出産することも自由ですし、妊娠・出産した場合は加算もつきます。
逆に離婚することも自由です。
離婚した場合も結婚の時と同様にケースワーカーに生活保護の変更申請書を提出する必要があります。
また、離婚して世帯を出ていく人も生活保護が必要な場合は、生活保護の申請をする必要があります。
要するに、結婚・離婚も自由ですが、どちらの場合も手続きが必要になります。
⑤について、生活保護受給者がペットを飼うことに疑問を持たれる方もいますが、生活保護費の使用用途は資産形成をすること以外であれば基本的に自由であるため、生活保護受給者はペットを飼うことができます。
また、精神病を患っている方の場合は、医師からペット等がいた方が良いと指導を受けている方もいるため、多頭飼育崩壊のような事態にならない限りはケースワーカーも特に何も指導も助言もしません。
ただし、生活保護費からペット代に関する扶助は一切ないため、ペットに関するあらゆる費用、例えばエサ代や治療費等は月々の生活保護費から負担しなければいけないため注意が必要です。
⑥について、生活保護の趣旨は健康で文化的な最低限度の生活の保障だからです。
「文化的な」がポイントで衣食住だけが認められているわけではなく、多少の娯楽をすることも認められています。
そのため、生活保護費をすべてパチンコ等のギャンブルに突っ込んでしまい生活できないような生活保護受給者に対しては、生活指導を行いますが、遊びでする分に関しては特に問題ありません。
中には生活保護費を落としてしまったと嘘をついて再支給して欲しいと相談に来る方がいます。
生活保護の制度上、生活保護費の再支給は可能となっていますが、紛失・盗難の場合は警察に届けるなど、様々な手続きが必要で、実際に再支給をした例はほぼありません。
⑦について、生活保護受給者はお酒を購入して飲むことも認められています。
宅飲みでも、外食時に飲むのでも、どちらでも自由にお酒を飲んで大丈夫です。
ただし、アルコール依存症の方や飲んで暴れるような方、医師からお酒を禁止されている方の場合は生活指導の対象となります。
⑧について、生活保護受給者はタバコを購入して吸うことが認められています。
タバコは健康被害を引き起こしますが、ギャンブル等と違い、生活できなくなるほどタバコを買いすぎることもなく、お酒のように酔って暴れることもないため、現状、特に制限はありません。
⑥・⑦・⑧については、どれもおすすめはしませんし、生活保護者が○○して良いのか?と揶揄されるものとしてよく話題になりますが、法的には問題ないということで、但しそれによって、生活することへの支障がみられる場合は、注意や指導があり、尚且つ改善されなければ、停止・廃止の対象になることもあり得ますので、勘違いされないように留意いただきたいと思います。
又、関連として借金の返済は認められていないということは前述の「生活保護者がしてはいけないこと」に記してますが、借金することは良いのだろうか?
借金すること自体は認められていますが、生活費を借りることはオススメしません。
まず、生活保護受給者と言うことで、普通の銀行や消費者金融はお金を貸してくれません。
結果、貸してくれるのは違法の闇金業者だけです。
闇金業者から借金をした生活保護受給者は元金は少しでも、暴利のため、毎月の生活保護費の半分近くを利子だけで取られてしまい、生活ができなくなります。
生活保護制度は最後のセーフティネットのため、生活保護費で生活できなくなると、もうどうしようもありません。
また、借金も収入のため、収入認定されて生活保護費が減額されてしまいます。
例えば最低生活費が10万円の生活保護受給者が3万円借り入れた場合、収入認定により、生活保護費が3万円減額され、生活保護費の支給金額が7万円に減額されます。
では、何のために借金をすることを認めているのか?と言うと、教育費のためです。
生活保護費から小学校から高校まで入学準備金は支給されますが、足りない場合に教育支援資金を借りることができます。
認められているとはいえ、実際可能なのは、教育費に資するもののみといっても良いでしょう。
⑨について、クレジットカードについては、生活保護上は使っても問題はありませんが、生活保護受給者に利用を認めるかどうかはクレジットカードを発行する会社の判断に委ねられます。
自己申告しない限り、クレジットカード発行会社は生活保護受給者かどうかを判断する術を持たないため、生活保護受給開始前に発行したクレジットカードに関しては滞納等をしない限り問題なく利用することができます。
ただし、ブラックリストに載っていたり、生活保護受給開始後に新規でクレジットカードを発行する場合は条件を満たさないため、クレジットカードを利用するのは難しいかもしれません。
以上のように、できないのでは?と思う事も実際は制限や程度の問題はありますが、可能であるというような勘違いがあります。
但し、どの事柄についても、あくまで生活に支障をきたすことや他人に対する迷惑が掛からないということが前提であり、そのことで注意・指導を受けても尚、改善されない場合は、保護の停止・廃止も有り得ることを忘れてはいけません。
はじめにケースワーカーから改善するように口頭指導が2~3回されます。
その次に「○月○日までに○○を改善しなければ生活保護を停止または廃止する」と言った内容の文書指導がされます。
それでも期日までに改善されない場合にはじめて生活保護が停止・廃止となります。
指導指示に従わない場合に生活保護が停止または廃止になるだけで、それ以外には特に罰則はありません。
例えば「改善されるまで生活保護費を減額される」と言った罰則等はありません。
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