生活保護と年金
- magokoro0026
- 7月18日
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生活保護をもらわなければいけないほど生活が困窮している人でも、各種年金の受給資格を持っている場合があります。そんなとき、生活保護と年金は同時にもらえるのでしょうか?
結論から言うと、生活保護と年金は同時にもらえます。しかし、どちらも満額をもらえるわけではありません。
支給される生活保護費は、
【生活保護費=最低生活費-年金・その他の収入等】
となります。
生活保護を受給するとき、年金収入があると生活保護費が減額されます。それを避けて生活保護費を全額もらうために年金をもらいたくないという人もいるかもしれません。
しかし、残念ながらそれはできません。なぜなら、生活保護を受給するには、資産や能力などあらゆるものを活用するという要件があるからです。
通常、65歳になると老齢年金の受給権が発生します。また、早く年金をもらいたい人は60歳~64歳の間に繰り上げ受給をすることも可能です。この制度があることで、生活保護を受けたい人に対し、ケースワーカーが年金の繰り上げ受給を求めてくることがあるようです。
しかし、生活保護を受けるために年金を繰り上げ受給する必要はありません。このことは、東京都福祉保健局生活福祉部保護課が作成した「生活保護運用事例集2017(令和3年6月改訂版)」にも、以下のように記載されています。
『繰り上げ支給される年金は、満65歳になってから支給されるはずの年金額が減額されて支給されるものであり、被(要)保護者の今後の自立を展望すれば好ましいものではない。また、年金受給者の中で、繰り上げ支給を受けることが一般的な例になっているとは言えず、福祉事務所の指導をもって繰り上げ支給の請求を行わせることには問題が多い。したがって、本人の純然たる希望により請求する場合の他は、繰り上げ支給の請求の必要はないものである。』(出典:生活保護運用事例集2017(令和3年6月改訂版)第5 他法他施策の活用(問5-1)年金の繰り上げ受給より)
そもそも繰り上げ受給をすることで、本来もらえる年金額は減ります。60歳から受給すれば最大24%も減額されるのです。最低生活費を確保できない事情のある人こそ、受給権のある年金額は全額確保できるようにすることが、本来の「あらゆるものの活用」につながるのではないでしょうか?そのような見解から、生活保護を受けるための要件として繰り上げ受給を求められても応じる必要はないと考えます。
生活保護を受けているときに、年金の受給権が発生するケースがあります。そんなとき、年金をもらうと生活保護費が減額されることから、年金をもらわない選択をしたい人がいるかもしれません。でも、それはできません。生活保護を受けるときは、前提として資産や能力などあらゆるものを活用して収入を得る必要があるからです。
あらゆるものの活用の中に年金の受給が含まれます。そのため、年金を受け取らずに生活保護費を全額受給することはできませんので、注意しましょう。
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